[感想]『弱キャラ友崎くん Lv.1』 屋久ユウキ
突然ですが皆さんは自分の人生をゲームに見立てたとき、それに現状どういう評価を下すでしょうか。
私は圧倒的にクソゲー派でした。
「神要素:クソ要素」の比重で言うなら「2:8」。
神要素はほんのコーヒーに入れるミルク程度。
しかし決して嫌いなわけではなく、あくまで客観的に評価をしてみると、という話でございます。
なぜ最初にこんな話をするかというと、それはこのラノベを語るに際して必要なものになるであろうからです。それでは参りましょう。
『弱キャラ友崎くん Lv.1』
理不尽で不平等。弱者に不利。
つまりは――『人生はクソゲー』。
このありふれた定型句こそが、この世界の本当のことなのだ。
作品紹介
この作品の主人公、友崎文也は『人生』というゲームにおいて表題どおりの弱キャラ。
特筆すべきことといえば、格闘ゲーム「アタファミ」で日本一である、という一点のみ。
そんなどこか親近感の湧く設定の彼がひょんなことから学園一の美少女、日南葵が「アタファミ」二位の実力者だと知ることに。
「この『人生』という『ゲーム』に、本気で向き合いなさい!
そしてそこから弱キャラ友崎くんの人生(クソゲー)攻略が始まるのです。
ワンポイント
私がこれを読んでいるとき、驚いたのが作者の目の付け所でした。
真に優れた作品というのは読後あるいはページを捲る途中でも、その読み手に深い気付きを与えてくれます。
この作品にもそれがありました。
友崎くんは弱キャラという視点から、思わず通り過ぎてしまいがちな日常の一コマを切り取り、日南葵とともに分析、攻略していきます。
この過程が非常にわかりやすく描かれているため、読み込んでいくと哲学書や実用書のような読み味を覚えるでしょう。
それはもはや一種の自己啓発本の様相。
しかしその要素がラノベの読みやすさを損なうことはなく、見事に同居しています。
まとめ
この作品に描かれている人生の攻略法と呼ぶべき様々な事柄は実際の生活に落とし込めるものが非常に多い。
こういう気付きをくれる本書と日南葵ちゃんに感謝しながら続きを読んでいこうとおもいます!