『十二国記 月の影 影の海』 小野 不由美
こんにちは。バター猫です。
本日は私の最も好きな異世界ファンタジーについてご紹介します。
それがこちら。
『十二国記 月の影 影の海』
画像はシリーズ1作目の『月の影 影の海』から。美しい。
「あたしが何をしたっていうのよ! あたしは、家に帰るの。こんなことに巻き込まれるのはもういや。どこへも行かない。家に帰る」
一人の平凡な少女は恐ろしい悪夢にうなされていた。ある日そんな彼女の前に奇妙な男が現れ、強引に少女をどこかへ連れて行く。それはこれから少女を待ち受ける苦難のほんの序章に過ぎなかった。
作品紹介
この作品を簡単にご説明しますと、主人公である陽子が異世界でひたすらに可哀想な目に遭う話でございます。笑
今でこそ異世界モノは楽しかったり賑やかだったりするイメージがありますが(もちろんそうでないものもあります)、
この作品に関しては異世界が容赦なく牙を向いてきます。
視点も陽子を介した書き方が多く、読者には陽子の感じる理不尽さが、嫌というほど伝わってきます。
そうした厳しい状況のなかにあって、それでも陽子はもとの自分の世界に帰るため、逆境に抗っていくのです。
ワンポイント
私、バター猫。もうこの作品を何度読み返したことでしょう。
それほどに好きな作品なのです。
上記で陽子が可哀想な目に遭うと書きましたが、読んでいるときはむしろ「陽子、がんばれ!」と応援したくなるような魅力がこの主人公にはあります。
落ち着くような場面では、ともにほっと胸をなでおろし、陽子が危険な場面ではページを捲る指に思わず力が込もってしまう。
なぜこんなにも感情移入してしまうのか。
それは小野さんの文章の巧みさからくるものでもあるでしょう。
例えば
闇は深く、広い。その天もなく地もない闇の中に、薄く紅蓮の明かりが点った。遥か彼方で炎でも燃え盛っているように、紅蓮の光は形を変え、踊る。
赤い光を背にして無数の影が見えた。異形の獣の群れだった。
これなんか映像がみえるようで思わず引き込まれてしまいますね。
太い脚の鉤爪が視野いっぱいに広がった。眼を閉じたかったが、できなかった。
目の前を白い光が走って、硬い激しい音がした。岩と岩とを打ちつけたような音を立てて、斧のように重量感のある鉤爪が顔のすぐ前で止まった。
戦闘描写にも迫力があります。
このように小野さんの文章は間違いなくこの作品の魅力の一つになっています。
まとめ
『十二国記』は現在文庫で11巻まで出版されています。
一般小説としてはかなり長いシリーズですが、一つ一つ本当に面白いです。
アニメ化もされているので、機会があればそちらの記事も書きたいと思います。
それでは。